第四回ですが、米光さんが一人で行った生放送もあるので実質第五回ともいえる。
今回は「ジオコン3」を手掛けた影虎さんをゲストに迎えており、ジオコン関連の質問への回答が多めです。
生放送のアーカイブページはこちら。
次回の生放送は今夜を予定しています。
(呼び名の話から。影虎さんが当時PNじゃなく名字で呼ばれていたとか、ほかのメンバーの呼び名の話とかなどから)
米光:いろいろだよね、氷樹先生は氷樹先生って呼んでたもん。
森田:氷樹さんは本名で。
うゑみぞ:俺もそうですね。
米光:呼んでた? 俺も本名で呼んでたっけ?
森田:まぁ先輩だからね。
米光:俺、氷樹さんって、いや氷樹さんとは言ってないか、氷樹先生って…言ってないか、本名で呼んでたか。
森田:ナベさんはナベさんだったりケロルさんだったりした。
米光:そうだよね、PNの浸透度による。
米光:影虎君は94年だよね
影虎:94年です。ちょうど新入社員に丁稚ジャージを着させ始めた年なんですよ。
米光:それは評判よかったの?
影虎:(爆笑)いやいや、ぜったい着たくないなんて言ってる人もいたし。ただ僕は割とイベント的な感覚で割り切って楽しんでました。
米光:あれイベントの時だけじゃなくてみんな着てたの?
影虎:そうです、まず入社したら、ピンクのジャージを着せられて、そこでまず仕事始めるんですよ。一人前と認められたらその時点でようやく脱ぐことが出来て、スーツ着たり、開発系だったら私服に着替えたり。
米光:その一人前だと認められるまでは、会社にいる間はずーっとそのジャージ…
影虎:だからジャージのことを嫌いだった社員の人も中にはいて、スーツとかで出社して、着替える人もいたんですよ。ジャージでいきなり出社してる人もいて…別にジャージでそのまま出勤してました。楽だったですし。
米光:今だったらパワハラにならないのかな?
影虎:もしかしたら…
森田:寮が出来たのって影虎君の時から?
影虎:かなぁと思うんですよ。僕たちが入って、まずした仕事っていうのがシャンボールのビルからアスティのビルに引っ越しする作業だったんで。で僕たちがシャンボールの空いた、もともと社長が使ってた部屋だと思うんですけど、そこが寮になって、先輩何人かと僕ら何人かで入れられて。
米光:じゃ俺が入った時会社だったところが、寮になったわけですな。
影虎:ほかにアパート住む人たちもいてって感じでした。その翌年にはまた人数が増えたんで、野球か何かの部活の合宿所みたいに使ってた建物があって、そこ買い取って、寮を作ってみたいなのもあったんですけど。
米光:94年入社ってことは、メガドラのぷよが92年の12月だから、もうそこそこヒットしたあと?
影虎:はい、入った時がちょうど森田さんがちょうどぷよ通のアーケード版のテストとかをしている時で、僕らもちょっと遊ばせてもらったりしたんですけど。
米光:そのころは入社させる人数も増えているが競争率も上がってる?
影虎:僕らの時はまだ十何人くらいだったんですけど、そこからさらにガッと上がっていく感じですね。だから翌年くらいまではまだ少ないんですけど、さらにって形でどんどん増えていって、これがちょっと採り過ぎだったっていうのもあるんですけど。
うゑみぞ:(笑)
米光:まぁそれはしょうがない。俺がいたころからもう、社長は倍で増やしていくって言ってたので。倍々にしていくって言ってるから、20年経ったら日本の人口超えるなみたいな。
全員:(爆笑)
米光:でもまぁほんとにその勢いでやってったからあんなに大きくなったんだと思うんで。
影虎:僕らと、95年くらいまでだと、まだ顔と名前って割と一致すると思うんですけど、96年くらいからは目立つ人だけ、みたいな感じになって
米光:誰だかわかんない。
影虎:そうなんですよ、多すぎちゃって。同じ仕事にかかわったりすると覚えてますけど、一応。
Q.影虎さんがコンパイルに応募したきっかけは?
影虎:大学が北海道の私立の大学だったんですけど、コンピューター室がある大学で。僕が入ったきっかけっていうのが、写真見たときに、ゲームやってる人間なら一発でわかるんですけど、大戦略遊んでたんですよ。ここ、ゲーム遊べるんだ、と思って。そんな不純な動機でその大学入って、そん時に一緒に遊んでた連中がディスクステーション買ってて、マーベルパットゴルフだとか、一緒に遊んでたんですよ。そいつコンパイル好きなやつで。ちょうど僕らが卒業して就職活動って時に、東京の方でコンパイルがセミナーやってたんですよ。就職セミナー。広島遠いけれど東京だったら受けに行けると、そこまで移動して二人して上野泊まって、セミナー会場行って受けてきて、だけどそいつ落ちちゃって俺だけ入ってみたいな。そんな感じなんです。
米光:じゃあ割とちゃんとした入社だ。
影虎:どうなんでしょうね、セミナーも割と結構おかしかったですけど。
米光:どんな感じだったの?
影虎:最初は適性検査的なものと一般常識の試験みたいなのがあって、それの結果を出してる間に、社長のスピーチみたいなのがあるんですけど、こそこそっと総務の人がやってきて「このあと残って」みたいな。で残されたのが、俺と6人いて。それで二次面接を即やる感じなんですけど。
米光:じゃあこそこそっと「残って」って言われない人は落ちてるみたいな。こいつ雑なことやってんな。
影虎:そうなんです。なんか聞いた話によると、その時とは別の機会だと、カラオケ行って歌ったりとか。そんなこともやってたらしいんですけど。僕らの時はなんか忙しかったのか、カラオケはなくて。
米光:カラオケ面接してるみたいな話は聞いたなあ。聞いたっていうかなんかのメディアで社長がしゃべってた。
影虎:だからいきなり無茶ぶりして「なんか物まねして」とか言われたりとかして。
米光:物まね何したの?
影虎:僕、芸能人とかそういうの全然興味がなくて。じゃあいっちょかましてやるかと思って。家によく猫が遊びに来てたんですよ、野良猫が。でそいつが車庫のところに勝手に寝てて。通学の時に自転車引き出すときに上からぴょんと降りてきて。朝だから伸びとかするわけなんですよ。で、猫の伸びの真似をしますって言って、背中伸ばして前足伸ばして…だからスーツ姿で床でそんなことをやったわけなんですよ。ちょっとインパクトのあることやってやろうと思って。とにかく機転効かせてなんとかするしかないと思って。
森田:パワハラだね。
全員:(爆笑)
米光:当時はそれほどでもなかったけど、今聞くとアレだよね。やばいみたいな感じあるね。当時はなんか機転効かせてチャレンジする、面白いスピリッツ持ってるかみたいなことだったと思うんだけどさ。時代も変わるよね。
米光:ジオコン3の質問が。
影虎:そうですね、ありがたいことに結構今でも好きでいてくださる方っていうのが何人かいて。ツイッターのフォロワーさんでもあるんですけど。
米光:ジオコン3はDS?
影虎:もともとはケロルさんと河本さんが作ったジオコンフリクトとジオコンフリクト2というのがあるんですけど、僕らもテストプレイとかして、こんなゲーム作ったんだとか思って。
魔導とかってどっちかっていうとおちゃらけ的なものがあるんですけど、ジオコンフリクトはどっちかっていうとシリアス系なんですよ。
で、シリアス寄りのファンタジーものを作りたいなーとか前から思ってたんで、そしたら使わせてもらえないかなって。サターンのディスクステーションが動き始めたときに僕もちょっとそっちのほうにかかわってたんですけど、そちらが停滞してる時に、デザイナーの小西さんがちょうど手が空いてて、ディスクステーションの編集長の北野不凡さんに、「今、小西が空いてるんだけどお前作らんか?」言われて。俺コンシューマー行きたいんだけどなーと思いつつも、でも小西さんと組めるんでしょ、やらない手ないでしょ?みたいな。そん時にケロルさんのほうに相談しに行って、「今度小西さんとゲーム作ることになるんですけど、ジオコンフリクトの名前使わせてもらえませんか?」って聞いたら「ええよー」ってもう一発で、二つ返事でOK出してもらって。でそれで作ることになったんですよね。そんな感じだったんで、あれは本当に運命の巡り会わせだったっていうか。
米光:じゃあデザイナーは小西君で、
影虎:はい、メインのキャラクターデザインが小西さん。一つ下のプログラマーの音羽(?)と、デザイナーが二人、そのあとヘルプでさらに下の2人くらいが入ってきたりしたんですけど。メインはそのプログラマーと、デザイナー2人、小西さん、俺、の5人くらいですね。
米光:影虎くんはディレクション?
影虎:そうですね、ディレクターとプランナーみたいな感じで。
もともとが、ゲームグラフィックスとか、イングリッシュレース(?)とかの読者参加ゲームとか結構やってたんですよ。その中の「ドラゴンベアラー」っていうゲームがあって、冒険者にどんな装備を持たせて、迷宮の部屋をどんな順番で回る、みたいなのを選んで送る、送ったらその結果が出てくる、みたいなゲームがあって。なんか準備だけしてあとは見てるだけゲーム作ろうと思って。
米光:放置ゲー的な。
影虎:そうですね。だから本当はもっと細かくいろいろと準備をして送り出す、みたいなゲームにするつもりだったんですけど。で、それで自動探索ゲームっていう形になったんですけど。
影虎:だから、読者参加型ゲームみたいなのが好きで… 後で出そうと思ってたんですけど、今お宝の一部出しちゃって大丈夫ですか?
(モノクロのイラストを提示)
影虎:これ僕がコンクラの方で、年賀状バトラーっていうの最初やってたんですけど、ロボットを対戦させるやつで、年賀状のくじ番号を一つだけ消して送ってくれと。そうするとその残った番号で機体が勝手に作られて対戦するっていう。でその結果が出ます、みたいなゲーム企画をやってたんですけど。
で、ディスクステーションのおまけコーナーっていうのがあって、そこで何か企画、っていうんで、「MSBT」っていうもうちょっとかっこいい名前のやつを考えて、でロボットを僕描くの大好きだったんで、ロボットを描いて、でやってくうちに他の後輩がかかわるようになってきて、その時に一番最初に戸部淑さんに僕が描いてた女の子をかわいく描いてもらって、そのあとは今度はエナミ君が関わることになって、エナミカツミ君が描いてくれたのがさっきの(モノクロイラスト)キャラクターたちなんですけど。あれが優勝者の人に贈るやつで、そのコピー。
森田:さっきのはエナミくんの絵? エナミ君ダメージでかいだろうねえ。
影虎:いやいやそんなことないでしょかなりかっこいいんで。
森田:急に自分の絵が出てくると…
影虎:見てないでしょたぶん
森田:デザイナー特有のものよ。
影虎:それは断り入れるべきでしたねー、何も言ってないんで、ちょっと。でもあれ見てみんなかっこいいと思ってくれる。
米光:そうね、お宝出すときに微妙なラインがあるね。まぁまぁまぁまぁ。
影虎:本来ならばちゃんと許諾とったうえで出すべきだとは思うんですけど。
森田:許諾っていうところではなくて、自分の古い絵がね。
影虎:あー、なるほど。恥ずかしー、みたいな。わーあの頃の…
米光:まぁまぁ、飲み会の席のことなので。
影虎:でもエナミ君、入った時からクッソうまかったですからね。
米光:デザイナーさんは入った時からうまい人が結構いるもんね。
森田:あの、俺の後の時代は。俺以外はって言った方がいいかも。この前、たまたまツイッターに流れてきたわけよ、自分の昔の絵がね。あれはもう、冷や汗出るよ。
米光:それは成長した証なので。
影虎:それは申し訳ないことをしました。許してエナミ君。
Q.ジオコンVというと当時すごくハマったのに、友達に面白さをうまく伝えられなかった悔しさを思い出します。マップがあのような形式(キューブをつなげたような)になった背景などがありましたら教えていただきたいです。
影虎:ジオコンVの面白さなんですけど、社長に上手く伝えられなかったくらいなんで。
米光:俺ジオコンVよく知らないんだけど、放置型の、ファンタジーゲーム?
影虎:そうですね、Vだと、ある迷宮を調査しに行けと言われて行くんですけど、まず自分たちの部下、傭兵たちがいて、戦士だとか魔法使いだとか盗賊だとかがいるんですけど、それを自分の好きなようにパーティを組んで、装備とかが迷宮で手に入るんで装備を付け替えて、魔法とかも持たせてやって、「〇階層の探索行け」と送り出したらあとは見てるだけなんです。自動でマップの中を降りて行って、戦闘がバーっと起きて、戦闘シーンがあって、倒したらまた勝手に進んで行ってみたいな。で、その合間合間にちょっとキャラクターがしゃべったりみたいな。だから本当に今のソシャゲの…
米光:そうね、放置系のゲーム。
影虎:放置系ゲームのはしり、みたいな。でジオコンVというのはダンジョンを自動探索していくゲームなんで、探索して迷宮の形状が明らかになっていく過程で、見た目でビジュアル的にわかりやすくしたいっていう思いがあったんですね。一方で凝ったグラフィックのダンジョン作るには、ディスクステーション用なんで、そんなに作業時間採ることが出来ないんですよ。で思いついたアイディアっていうのが、ダンジョンの全体のイメージグラフィックを背景にして、何階層かごとに切り替わって別のグラフィックになるんですけど、その背景とともに、キューブ上のひとマスの自分がいる場所みたいなのがあって、連続で探索するごとに広がっていって、迷宮がこう広がっていくんです、アリの巣みたいな感じで。それを見て楽しむみたいな感じで。
要はクォータービューなんで、ひとマスが6角形みたいな形の、ナナメで見た立方体みたいな形になってるんですよ。それが連続してつながっていくみたいな。で、担当プログラマーに、重ね合わせとかも奥の方からやっていけばいいから、こんな風にしたらできるんじゃない?って相談したら、「ああそれならできますね」って。それであんな形になったんですね。
米光:マップも自動生成的な組み合わせのマップ?
影虎:いえ、マップ自体はデータがあって、最初は見えてないんだけど、探索していくと見えていくっていう。一応探索したところは見えっぱなしに。
米光:ジオコン4も影虎くん?
影虎:えーっと立ち上げ自体はそうなんですけど、僕が退社したのがそのジオコン4の製品版完成前なんで、実は途中までしかかかわってないんですよ。ちょうどあのころは割と、なんだろ、会社の雰囲気もどんどん悪くなってったりとか…
米光:そんな時点で会社の雰囲気悪いの? だいたいいつ頃なの、辞めたの?
影虎:確か2000年入るか入らないかくらい。
米光:はいはい、じゃあもう悪いよね、雰囲気。
うゑみぞ:(笑)
米光:権利とかはセガに行ってる?
影虎:そうですね、アスティのビルから離れて、大野浦の方の、キノコ作ってた工場のところに行って。あそこが自分にとって悪かったのが、冷房が何機か効かせてるんですけど、おっきな部屋なんで、暑いところと寒いところと差が激しいんですね。僕のところがちょうど冷房が直撃するところで、みんなは暑いもんだからすっごい強くするんですよ。それが直撃するんで、体悪くしちゃって。
米光:でっかい部屋特有のやつね。
影虎:で、なんかこう、トイレ行きがちになったりとか、あとはそのころ色々と悪いことが重なったりとかで、どんどん気が病んでって、ついにはちょっと鬱っぽい感じになっちゃって。
米光:うゑちゃんも森田もそのころまでいるんだっけ?
うゑみぞ:いやー
森田:俺はそのキノコ工場行く前に、だから広島駅の南口のビルの時にやめたので。そこの惨状は話を聞くだけで。
米光:じゃあキノコ工場は俺と一緒で想像でしか。
森田:そうです。なんか面白い感じの。
米光:面白いよねー、現実はそんなに面白くないんだろうけど。話だけだと面白い。うゑちゃんは一回辞めて戻った後にキノコ工場でキノコ作ってたんだっけ。
うゑみぞ:98年に辞めて、2002年の冬ですね、戻ったのが。
影虎:もうアイキになってる頃ですか? まだ?
うゑみぞ:いやー、まだまだ。ぎりぎり、まだコンパイルのままで、2002年の春に所沢移って、その1年後に、そこで倒産が決まって、そっからアイキに。2003年か。
Q.ジオコン4で傭兵団不参加だった4名のパーティリーダー時の特殊能力が知りたいです。
影虎:これははっきり決めたものはなかったんですけど、たとえばリビウスであれば、冷静とか堅実とかいった彼の性格らしい特性。ディオンであれば奇襲とか攪乱とかいった搦め手というかテクニカルな特性だと思います。あとはゼフィールとかバンは亜人種なんで、ゼフィールであればエルフらしい俊敏さとか、バンであれば強靭さみたいなものを付けたんじゃないかと思います。
実際ジオコン4の中では、ジオコンVの時にいたキャラクターでいなくなってるメンバーが4人いるんですけど、それがその4人なんです。作業量減らしたかったんで、そういう裏事情があって。彼らにはいったん離れてもらって、余裕があればまたちょっと戻ってきてもらおうかなーと。一応、イベントで絡んできたりはするんですけど。
米光:すごい、めちゃめちゃ覚えてるね、ちゃんと。
影虎:あーいや、結構思い出すのも大変だったりするんですけど。
Q.商人の中で唯一リディアの名前が系統が違うように思います。のほほ、ふふふ、もももなど。何か理由はありますか? またリディアが商人に起用されたのはなんでですか?
米光:わかんないです。
全員:(笑)
米光:あ、でも、もももとはふふふとかは仮名なのよ。名前作るのが面倒くさいからもももとかふふふにして作ってもらってたんだけど、「いっか、それで」っていう。仮名のまま。で、その仮名の後に「魔導師は喉をつぶす」みたいな設定を作ったから、ちょうどいいじゃん、みたいな。ドラクエの「ああああ」みたいなやつを。リディアだけなんでリディアにしたのかな? 覚えてないです。もう一回出そうと思ってたんだけど、覚えてないです。
Q.ジオコンの次回作の構想があったら教えてほしいです。
影虎:結構年月過ぎてるのにいまだに次回作遊びたいって言ってもらってるのは、製作者として本当にうれしいんですけど、構想なんですけど、今作るならこんな風に作るかなみたいなのはあるんですけど、長くなりそうな話なんで、なんか別の機会に。ツイッターの方で関連したつぶやきとかしていくかもしれません。もしリスナーさんの方で、それ知りたいなーとかとか言うのがあれば、影虎ではなくRuddy_Bという名前でアカウント作ってるんですけど、ツイッターの方でジオコンフリクト3で検索かけていただくとすぐ見つかると思うんで、よかったらフォローしてください。
Q.ジオコン4のNPCのマークハルトの紹介文で、事情によって疎遠になっている傭兵団長が云々とありますが、この事情とはどういった事情でしょうか? ずっと気になっています。
影虎:これは王国の(聞き取れず、すみません)でゴタゴタがある設定なんですよ。で現国王を除いて継承権で団長が継いでしまうんで、邪魔だから暗殺したい人とかがいて、団長は自分が王になる気はないし、王家からは距離取ってて。国王からすると団長を狙う一派がいるのは知っているんで、その身を案じている、みたいなそんな感じです。
Q.BGMはカッコイイものばかりですが、サウンドチームにはどのような指示を出しているのでしょうか?
影虎:ちょうどジオコン3、4と、アフターデビルフォースは同じサウンドチームにやってもらっているんですけど、大体サウンド担当の方にこれから作るゲームはどういうゲームか、というのを説明して、その時点で出来てる絵とか設定画とか仮のグラフィックがあればお見せして、あとはどういった場面で使う曲で、大体これくらいの長さのものを、っていうのをリスト化して、そのリスト化したものを渡して作ってもらって。基本的にサウンドチームは優秀なので大体いい曲くれるんですけど、クオリティは問題ないんですけど、自分が指示を出し切れてない部分があって、「ちょっと違ってるなー」っていうのがどうしても出てくるんですよ。出てくるんで、上がってくる曲聞いて、「ここちょっと変えてもらえない?」とか、上げてもらった曲の中で「こことここ逆の方がいいんじゃない?」っていうのを入れ替えて使わせてもらったりとか。そんな感じで。あとは個人的なこだわりがあるところだけは、ちょっと何度も、「こうして」「こうして」ってのを出して、ちょっといいかげんにしてくれ、ってサウンド関係の方に
米光:具体的に「こうして」はどんな感じで?
影虎:そんときは具体的に、例えばジオコンだとラスボスの曲を盛り上がる感じにしたかったんですけど、途中でなんかトーンダウンしちゃうというか、おとなしくなっちゃうところがあって、いやここおとなしくするんじゃなくてガーっと盛り上げてほしいなあ、って言ってたんですけど、まあ曲作る方からしたら「これ以上盛り上げるのは無理だぜ!」って。「いやすみませんんねえ」ってちょっと無茶ぶり過ぎましたーみたいな感じの。
米光:サウンド誰なんだっけ?
影虎:3人いて、りんこうさん(?)と他一名さんと…当時のペンネームが何だったか忘れて、すみません。青木さんだったか…何の名前でやってたか、名前ちょっと変えてらっしゃるんで…。そのボス曲とかその方が作ってくれてて、すごくカッコイイ曲作るんですけど。(*青木さんで合っているそうです)
ニコニコ動画の方とかで上げてくださってる方がいるんで、それでジオコンフリクトで検索かけていただくと見つかると思います。本当いい曲なんで。
米光:本当サウンドは結構どうしようもないもんね。雰囲気の発注はするけど、いい曲だなーとかいまいちだなーとか、いまいちだなーと思ってもリテイクの出しようなかなかないもんね。
影虎:そうですね。
米光:よっぽどこっちが曲作れるとかじゃないと。「こうして」みたいなことはなかなか言えないから、部分で「ここちょっと変な感じしない?」とかは言えるんだけど。
影虎:同じ曲をパソコンで鳴らしながら、イヤホンの右と左それぞれ分け合って聞きながら、「この何分何十秒のこのあたりなんだけど」って大体ニュアンスみたいな感じでお願いして。だから、音楽関係の専門知識とかがもっとあれば、細かく、的確な指示が出せると思うんですけど、さすがに無理があるんで。そっちのプロじゃないんで。
米光:いや細かくやってもそんなに出せないと思うよ。そんなこと言われても腹立つだけだと思います。
影虎:難しいですね。
米光:難しいですよ本当にねー。うゑちゃんとかはどうやって出してたんですか? サウンドの発注は。
うゑみぞ:俺はほぼほぼ丸投げっすねえ。
米光:曲リストとかは作ってたでしょ?
うゑみぞ:ええ、それは作ってましたけど。大体のイメージ伝えただけで、よっぽど外れてない限りは、「うんオッケー」。
米光:俺も大体曲リストと、時々、ピアノだけの感じでとか、悲しい感じでとか、この曲に似た感じでとかは言ったりしてたけど。
Q.ジョシュアの家族について教えてください。
影虎:ジョシュアの両親はすでにお亡くなりになっていて、お父さんが魔族、または魔族の血を引いているという設定です。このあたりは表に出てない設定なんで、逆のパターンでお母さんが魔族でも面白いんじゃないかなと今は思ってるんですけど。つまり彼は孤児なんで、幼少期に傭兵団に引き取られてずっとそこで生活しています。
Q.ジオコンアドベンチャーでジオコン3のデータをロードできるのはどのような意図があったのでしょうか? ゲーム的には戦力がちょっと上がるメリットがありましたが、それだけでしょうか?
影虎:えーっとアドベンチャーの方は実は別スタッフになるんで、僕の後輩の企画の女の子が作ってたんで、そのあたりの仕様はちょっとよくわからないんですけど、まぁ本家の方と絡めてなんかあればいいなーみたいなところだと思うんですけど。ちょっと詳しいところはわかりません。
Q.アルシルは食事の時などに目を開けているのでしょうか? 任務以外では普通に目を開けているか気になります。あと魔力を格闘の力に変えているのは、もしかしたらルルーも無意識にそうなのかと思ったことがありました。
影虎:アルシルは普段からあんな感じです。目が見えないわけでも、開かないわけでもないので、ごく稀に目を見る機会はあるかと思います。実はアルシルの過去話、ちょうど準備していまして、そのうち読めるようになるかもしれないです。こちらは気長に待っていただければと思います。
Q.この年は無茶苦茶頑張ったなーという年があれば知りたいです。
影虎:僕はジオコン3作ってた時は、なんせ気合入れて作ってたんで、結構頑張ったなと思うんですけど。
あとは入社したての94年ですか。開発系の部署に行けるかどうかの瀬戸際だったんですよ実は。僕が入社した時っていうのが、最初デザイナーで受けて、そちらの方が音沙汰なくて、ダメだなーと思ってたら、ある時電話がかかってきて、「システム本部っていうのが新しく出来るんだけど、そこでよかったら来んかね」みたいな感じで言われて。とりあえず入ってさえいれば何とかなるだろうと思って「行きます行きます」みたいな感じで行って。システム本部は何でしたっけ、結構ビジネス系のソフト作る…
うゑみぞ:パワーアクティ。
米光:あのパワーアクティか。
影虎:そうです。あの。…で、立ち上げた部署だったと思うんですけど、僕らが入った時に、例の丁稚ジャージっていうの渡されて、まずいろんな部署を順繰りに回されたんですよ。社長室だとか広報だとか。まったく関係ない部署をとにかく一か月くらいずつ。各部署でどんなことをしているか覚えろー、みたいな感じだったんです。そのうえで、どこの部署の人に取ってもらうか根回ししろと。で取ってもらえたらそこの部署だ、みたいな。うわこれは頑張って開発系行かねば、みたいな感じで。で二人とか三人とかでチーム組んでゲーム作るんですけど、その時は二人だったんですけど、相方がゲーム作るの全く関係ない総務に行っちゃったので、プログラムは出来ないし絵は描けないしで、ほぼほぼ俺一人で作って。ゲームとしては成立しないデモ的なものになったんですけど、ケロルさんに頼み込んで、なんとか取ってくださいみたいな。「わかったー」みたいな感じで取ってくれて。それでDS部に入ったっていう経緯がありまして。危うかったんです。
米光:そん時にめちゃめちゃ頑張ったみたいな。
影虎:めっちゃ頑張りました。おかげさまで開発には何とか滑り込みというか、入らせてもらって。それがなければのちのジオコンとかアフターデビルフォースとかもなかったというか。
米光:うゑちゃんとかも…頑張った年って言われても、年で覚えてないと思うけど。
うゑみぞ:どうなんですかね。給料出なかった年って俺が入った年でしたっけ?
米光:いっぱいあるからよくわからん。給料は大半が出てないイメージなんだけど。そんなことないとは思うんだけど。いつだっけ、給料出なかった期間って結構あるんだよね。森田も?
森田:出なかった出なかった。
米光:影虎君はもうそういう時代じゃない?
影虎:俺が入ったころはもう大丈夫でした。辞める頃はちょっと危なかった。
森田:米光さん、ボーナス出たの知ってる?
米光:ん?
森田:ぷよの。
米光:知らない…
うゑみぞ:あー、初めて出ましたね。
米光:ボーナスのない世界で生きてるし。
森田:米光さんが辞めた後に、要するにぷよがヒットしたでしょ? で、多分お詫びの意味も含めたボーナスが…もちろん給与もちゃんとよ、給与もがっと出た後に、ボーナスががっと出たの。これは米光さんのもんだろうなあと思いながら、辞めてった米光さんたちへの気持ちを思いながらもらった記憶があるわ。「ありがとうありがとう」って思いながら。
米光:俺がいたころは…辞めたころも給料でない事件続いてた気がするけどなあ。給料出ないっていうか「給料遅れる」ね。結局もらい損ねてはない。
森田:もらい損ねてはないです。
米光:給料が遅れる。つっても、腹立ったのは、「給料一か月遅れます」って「えー!」ってなって、「でもしょうがない、頑張って儲けよう!」って。二か月遅れたときがあった時に、俺死ぬなって思った時に、「給料の前借システムを開始します」って言い始めて、「前借でもなんでもねえわ!」みたいな。二か月遅れて食えない人は一部出しますよ、っていうのを「前借システム」って言ったのはちょっと腹立ったな。前借じゃないからね、全然ね。
うゑみぞ:最初の一、二年は、あー就職先間違えたかなーって、結構やばかったんですけど。
米光:あと給料遅れてた頃に、そんなに辞めてないんだよね、みんな。
うゑみぞ:そうなんですよね。俺の同期もほぼほぼ残ってましたし。
米光:だから給料遅れたからって辞めた人ってあんまりいないよね。あの頃ゲーム作れることが、ある意味喜びだったし、給料遅れるくらいは。
森田:うゑちゃんはさ、言ってしまえば北海道からの遠征組なわけじゃん。だから結構死活問題…
うゑみぞ:だからその前借システムを… でもあれ総務の池田さんが個人的に貸してくれたような感じだったんですけど。
米光:めちゃめちゃなシステムだなそれ。
森田:でも広島組の俺としては、我慢できるわけよ。まだ実家だったから。だから、遅れるって言われても、払ってくれるんだったらまあええか、みたいな感じで。納得はしてないけど、しょうがないって思ってたから。うゑちゃんとか、遠くから来てる人には心配はしてたけどね。辞めてないというのはすごいことだとは思うよね。
うゑみぞ:まぁなんとかなったからねえ。
森田:なったの?
米光:なったのかねぇ、当時ぎりぎりね、なんとかね。
米光:(コメントから)ゆんまさん。ゲーム作れなかったので早々に辞めてしまいました。
うゑみぞ:あー、ゆんまボーイ…
米光:そういうこともあるよねー、なんかね…
米光:で、森田くんは頑張った年は?
森田:頑張った年は… 頑張った年というよりも、頑張ってないときが増えたのが、ぷよ通を作り終えた後から、こう頑張れなくなったっていうのはあるかな。
米光:なんで頑張れない?
森田:ぷよ通作って、とりあえずぷよ関係のモチベーションは満足できて。
米光:燃え尽きたやつですか?
森田:燃え尽きたわけじゃなくて、そこは満足してて、今度はシャドウランは…もう毎回シャドウランの話になるけど、シャドウランが残ってるわけよ、作るっていうのが。
米光:ずーっとやってんなー
森田:そう、シャドウランを作りたいのに、結局「いやいやそれはいいから」っていうことで、他のプロジェクトをちょっとやってまた戻ったら、また、っていうので… なんというか、作りたいものをオアズケで、それをエサにしてほかのことをやらされているようなイメージがね。実際そういうわけじゃないけど。でも当時の俺は、そういう風に思ってしまったから、「えーシャドウラン作りたいのに―」ってことを思いながらやってるから、モチベーションが少し低下していたっていうのはあるね。でもそれまでは、米光さんの時代とか、後輩の影虎くんの世代とかも、いろいろ交流できてたから、人が楽しかったから、そこに関してのモチベーションは落ちてないんだけど、だからずっと頑張れたっていうのは、あるかな?
米光:そうねえ、なんだかんだ重かった(聞き取れず?)からな。今思い返すとねえ。
森田:あと変な遊びもしたしね。変じゃないか、テーブルトークとか。タホイヤやったりとか。
米光:当然ゲーム好きが多いから。いろんなゲームをね、会社で。研究と称してやってたもんな。
森田:そうそう。
うゑみぞ:(笑)
森田:広辞苑買ったもの、第四版を。
米光:タホイヤっていう広辞苑使って遊ぶ言葉のゲームがあって。わざわざ広辞苑買ってやりましたなー。
米光:影虎くんはやめた後はどうしてるの?
影虎:辞めた後はいろんな仕事転々としてるんですけど、今現在は実家の方にちょっと戻っていて。今ちょっと無職です。
米光:じゃ、のんびり、フリーダムに
影虎:ちょっと体壊しちゃって、治療入院とかを定期的に受けながら、今家の方で。
米光:それまではどんなことやってたんですか?
影虎:数年前は名古屋の方に行って、インターネット経由でクレーンゲームを遊ぶようなサービスがあるんですけど、ゲームで知り合った方で「やったれキャッチャー」っていうサービスやってる方がいらっしゃって、今は社長で沖縄で頑張ってらっしゃるんですけど。要はお金とかでポイントを買って、ポイントを使ってクレーンゲーム遊んで、実際に取ると自分の登録した住所に送ってもらえるっていうサービスなんですけど。
米光:スマホでやるんだけど、取ったら物は。
影虎:そうです、スマホとかパソコンとかブラウザで遊んで、取るとマグカップとかがもらったりできるそんな感じのサービスです。でそちらの方とか結構手伝ったりとかしたんですけど。
米光:その運営的なことを?
影虎:そうですね…景品とったあとは、当然リセットというか景品置きなおしたりとかしないといけないんで。あとはメールでユーザーさんとやり取りしたりとか。そういったことを。
米光:ゲーム上はデジタルだからいくらでも景品増やせるけど、リアルではなくなるとその景品なくさないといけないのか。
影虎:クレーンだから取っちゃうんで、取っちゃったらまた取れるように置きなおしてあげないといけないんです。
米光:取ったらもうそこから消えて、在庫があれば。
影虎:そうですね、在庫があるんで、発送するときはその在庫の方から綺麗なやつを。
米光:(コメントから)にょ〜にょさんから。98から99年まで耐えれば、事務系から開発に引っぱられたりしてるんだけどね。
影虎:元社員のにょ〜にょさんとかゆんま君とか見てくださってるんですね。
米光:(コメントから)宇宙帝王さんとか開発に欲しかったやん、宇宙帝王さん俺わかってないけど。辞めた後のひと誰が誰だかわかんない。しかも当然辞めた後の方が人数多いから。出てくる名前が大半がわからない。
米光:お宝を… こないだ、ぷよを手塚さんたちがほめてくれたけどファミ通にはけなされたみたいな話したじゃん。あの時のマイコン。大切に取ってますよ。ファミ通は取ってないけど。
全員:(笑)
米光:この、ファイナルステージっていう、恐らく編集後記みたいなところで、手塚一郎さんがこう「ぷよぷよは超おすすめソフトだー!」って、対戦が面白くてみんなでめちゃめちゃはまったよ、みたいなことを書いてくれてますなあ。「ゲーム内容はドクターマリオ+テキパキというオリジナリティのかけらもないものなのだが…」…読むの辞めた。
森田:いやいや(笑)
米光:「なのだが、ブロックを連鎖させたりすると相手側にごみを大量、多い時には30個くらい降らせるという派手さが最高に楽しい」みたいな感じでね… 「誰にでもおすすめしてしまうぞ。ディスク書き込みのみで600円、安すぎる。死ぬまで遊んでくれ、僕も遊ぶぞ」みたいに書いてくれてますなあ。
森田:結局その手塚さんのコメントが、例えば営業行ったときにも、俺らがしゃべるベースになってたよね。ぷよって本当にオリジナリティがないという風には思ってないけれども、一回自分たちを落としてから、でもぷよのここがすごいとか、爽快感があるとかっていうから、まさにこの手塚さんの文章が、営業トークのベースになってる。
米光:でもほんとベーマガでちゃんと評価されたっていうのは大きいよね。作ってる側にとっても。
米光:森田先生のお宝を…
森田:お宝はないから、始まる前に(絵を)アップしたわけですよ。
米光:あ、それ見てないわ。
森田:これくらいが(ドラコの絵を見せる)
米光:あーでも、森田先生の絵だ。
森田:サクッと描けるからいい時代だよね。
米光:ペンで画面にタッチして描けるなんて想像もしてなかったもんね。
森田:でもこれはパソコンで描いたのよ。
米光:あ、マウスで?
森田:マウスじゃない(笑)。マウスで描く時代ではそもそもない。
米光:でも氷樹先生まだマウスで描いてるだろ。
森田:マジで!?
米光:わかんないけど。描けてもいいくらいにはそう思ってる。
森田:でもさすがにこの時代では、マウスじゃなくてもよくない? こういうペンと…
米光:ペンで描いてるかなあ? 聞いてみよう氷樹先生に。氷樹先生、マウスでめちゃめちゃ描くの早いからさ。
森田:Photoshopで描きよったじゃない、絵を。BAROQUEの時も。
米光:どんな緻密な絵もドットで描いてたから。いまだにそれで描いてるんじゃないかと思うんだけど。すごい遅れてる人は新技術来たら飛びつくけど、すごい出来る人は新技術来てもそんなに差がないから飛びつかない法則。いまだにマウスでカチカチカチカチって描いてる気がするなあ。知らずに言ってるから単なる妄想ですけどね。
森田:お宝がないので毎回やるたびにアップする感じで。絵描きの特権です。
米光:絵のタッチってあんまり変わんないね。もちろん絵の描き方とかめちゃめちゃうまくなってると思うんだけど、タッチとかは見たらわかる気がするもん。
森田:それはいいことなのか、進歩がなくて悪いことなのか。取り方よね、俺のね。良く取れば、良くなるし、良く取らなかったら
米光:でもその辺は誰も変わんないんじゃない? すごいことが起こらない…人格が変わったレベルで。あんまり変わんないものなんじゃないかなあ。
*ジオコン4未プレイなのでキャラ名とか間違ってたらごめんなさい。後でちゃんとプレイしたいです。