【 博士の子 -eternal recurrence- 】
三叉路の巴田コウさんの作品。
ティラノゲームフェス2017参加作品であり、佳作入賞となっています。
哲学をテーマにした30分程度の作品ですが…
水彩画風の柔らかな画面が優しい、ノベルゲームです。
こちらから無料プレイ可能です(ノベルゲームコレクションへ飛びます)
スマホを含むブラウザのほか、Windows/MacintoshでDLプレイも可能です。
ぼくと博士の静かな暮らしは、ただただ穏やかに過ぎてゆく。
…ただ、ぼくの過去の記憶は、すっぽりと抜け落ちたようになにもなくて…
ぼくは、ぼくのことを知りたいと思う。
だけど未来には、ぼくはいつか、博士のような、優しくて物知りで、不器用に笑う、そんな大人になる気がする…
満ち足りた、静かな暮らしの中で「ぼく」は静かに願います。
――ぼくのことを知りたい。
自分には過去がなく、だけどそれでも、博士がいたし、それに一度博士に自分の母親について尋ねたら、博士は黙ってしまって…それ以降尋ねていない。
天気のいい日は丘まで出かけていき、りんごの木の下で博士は本を読み、ぼくは草を蹴り駆けてゆく。
ずっと博士と二人だけの生活をしている僕は、街の門の前で怖くて引き返してしまう。
…博士と二人だけの生活、それがぼくには当たり前のものだったのです。
何も不足も不満もなく、当たり前で、満ち足りていて、柔らかな日々、そんなものがずっと続くと思っていたのです。そんなことはないのだと、頭の片隅で知りながら。
繰り返し繰り返し何もなく優しい日々。
父親みたいな博士。親子みたいな関係。だけど彼は父親ではなくて。
だけど…
クリア後にタイトルイラストの意味を理解して胸が苦しくなりました。
ネタバレになってしまうので詳しくは言えませんが、周回することが前提のゲームです。物語を何度も読む、と言うことにうまく意味を持たせているなと感じます。実に見事な手法でした。
水彩風の絵で彩られたノベルゲームですが、イラストはAIによる自動着色を上手く使っています。あのサービスも水彩みたいで綺麗ですもんね。
音楽もAIによるツールを使用との事。
使用ツールを見ても、哲学と科学のノベルだわ…と言う感じで、何かこだわりがあったのかなと感じます。
雨上がりの翌日の陽だまりのような、だけどなぜか悲しい、そんなゲームでした。おすすめの一作です。
こちらから無料プレイ可能です(ノベルゲームコレクションへ飛びます)
スマホを含むブラウザのほか、Windows/MacintoshでDLプレイも可能です。