【 その微笑みが欲しかった 】
とある図書室での、ごく普通の少年とお嬢様、のふたりの会話がメインの、とても退廃的なお話。
画面を覆う、巨大なフォントを使った演出が印象的。
読了まで15分程度の、分岐のない短編ノベルです。
こちらから無料プレイ可能です(ノベルゲームコレクションへ飛びます)
スマホを含むブラウザのほか、Windows/MacintoshでDLプレイも可能です。
ごく普通の少年・田中一郎。
才色兼備のお嬢様・高垣麗奈。
図書室で、退屈をこぼした麗奈に、一郎は本を選んでやる。
純文学なんて読み飽きたとこぼす麗奈だったが、普段彼女が読むことのなかった、退廃的なコズミックホラーは、どうやらお気に召したようだった。
そして一郎は彼女に退廃的な、世界の終りのような物語を勧め続ける。
彼女はどれも、面白かった、と返却してくる。
世界の終焉の物語が好きな一郎にとって、麗奈が自分の好む作品を楽しんでくれる、それだけでうれしかった。
…はずだったのに…。
主人公はかなりの読書家で…、…しかも私と結構本の趣味が合いそうだなあ。
とは言え私はコズミックホラーは、解説まとめ本に掲載された簡易的なものでしか知らないんですよね。…いずれちゃんと読まないとね。
コズミックホラー以外にも、主人公はいろんな本を麗奈に勧めています。
どんな本なんだろう、気になる。
ただし勧めるのは、退廃的で、絶望的な、世界の終わる物語ばかり…、うん、やっぱり趣味が合いそうだ、どんな本なのか私にも勧めてほしいw
だけど…麗奈は終焉を望むようになってしまった。
世界を滅ぼすということは、たくさんの人が理不尽に死に至ることになる。
だけど麗奈は、ひとを死なせることが悪いことであるというのは、時代によって変化してきた倫理観でしかないと言います。
一郎はどう解答するべきなのでしょうか?
そして、麗奈は、終わった世界には、自分と一郎だけがいればいいと言います。
…自分を、求めている。密かな想いを抱いていた麗奈が、彼女と自分だけのために世界があればいいという。
それは、麗奈の世界を滅ぼしたいという願いを止めようとする一郎にも、あまりにも魅惑的な提案で…
そして、二人の終わりと、始まりは…どうなるのでしょうか。
めちゃくちゃ退廃的なお話なんですけど、だけどそういう暗いタイトルにせず、あえて「その微笑みが欲しかった」というタイトルなのがすごいセンスある…。
一郎にとっても、彼女が一番大切な存在になっていたんですよね…、それを悟らせるタイトル。ハッピーエンドだな。
世界の終焉の物語を好んで読んでいた彼女が、こうして、世界の終焉の物語として語られるのは、なんだか皮肉ですね。
彼女の行動も、こうして、楽しかったと消費される終焉の物語の一つにしか過ぎないんですが、ただ、彼女は幸せそうに笑ってるし、やっぱりハッピーエンドですね。
…そうです、その微笑みが欲しかったんです…。
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